自戦の検討と、将棋仲間との交遊録。twitterアカウントは、『@ike_rui』です。
「週刊将棋」の休刊は、将棋界の危機なのか?
J-CASTニュースに、
『「週刊将棋」休刊でわかった将棋界の危機 「参加人口」激減、棋士収入も大幅ダウン』
という記事が出ていた。

本当に将棋界は危機なのか?参加人口と棋士収入は減っているのか?検証してみた。


棋士収入について

2007年~2014年の獲得賞金ランキング
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・リーマンショックが起こった2008年に、上位10名の総賞金は減っている。
・東日本大震災が起こった2011年に、上位10名の総賞金は減っている。
・ここ4年は減っていない。むしろ増える傾向にある。
・上位10位に入るのは、タイトルホルダーとA級棋士。顔ぶれはほぼ変わっていない。


2015年は新棋戦の叡王戦も始まり、全体の棋士収入は増えるのではないか。
記事に書かれている「協賛金の激減で、棋士が食えなくなっている」というのは、
事実に当たらないと思います。
また、将棋連盟の収入もここ5年は約27億円で推移しており、変動はありません。


参加人口について

J-CASTニュースの記事内では、2009年のレジャー白書の数字が比較対象に使われているが、
私はこれも適切ではないと思う。

そもそもレジャー白書は、15歳以上を対象にした調査であり、
将棋を最も楽しむ10歳~14歳の層が、調査対象から外れている。

また、2009年にレジャー白書の調査方法が、訪問留置法(調査員が調査票を渡す)から、
インターネット調査に変更になったことも見逃してはならない。

クリックひとつで回答できるインターネット調査は信頼性が低く、
2009年は将棋・囲碁・麻雀ともに数字は約2倍に増加している。これは信頼できない数字。
この数字を元に、「参加人口激減」は誤った読み解きである。

レジャー白書に見る、種目別人口の推移003_201510222305486fa.jpg


一方、5年おきに実施されている政府統計の社会生活基本調査のデータ。

006_20151022232826f49.jpg

将棋人口は2007年の441万人から、2012年は392万人と減少しているが、激減していない。
「100人いたら、3~4人が将棋ファン」である、将棋人口約390万人というは、
実態に近い数字ではないか。

土日の連盟道場は満員御礼で、将棋ウォーズの会員数は120万人なのです。

ということで、私の見解は、
「棋士収入も将棋人口も、さほど減っていない。将棋界は危機ではない。」
です。

我々将棋ファンは、誤った情報に踊らされることなく、
これからも将棋界を応援していくのであります。



ではなぜ、週刊将棋は休刊するのか?

1つ目の理由は、おそらく紙代の高騰である。新聞紙の原料であるパルプは輸入しているのだが、
円安の影響で紙代が高騰し、出版・印刷業界を圧迫している。
仕入れる用紙代が10%~20%も上がっており、これでは採算ベースに乗らなくなってしまう。

参考:時事通信「2015年から相次ぐ紙の値上げ」


2つ目は、生活スタイルの変化である。

紙の新聞から、ネット媒体に、ユーザーがシフトしたため、部数が減ったことは想像できる。

ただし、将棋はネットと親和性の高いコンテンツで、ネットで対局できたり、
プロの対局をリアルタイムで鑑賞することができる。

30年にわたり、将棋界を支え、ファンを楽しませてきた週刊将棋は、残念ながら休刊になってしまう。
しかし、「週刊将棋は紙でないとダメ」ということはないのである。

運営元のマイナビさんはネットに強いので、例えばネットでの「週刊将棋」であったり、
むしろ「日刊将棋」であったり、さらにパワーアップしての復活を、楽しみにしています。
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コメント
コメント
これぞ。プロの鋭い分析。感嘆の一手です。
わたしもネット新聞ができていくような気がします。
2015/10/23(金) 07:33:42 | URL | コバケン #- [ 編集 ]
はじめまして。拝見して、思わずコメントさせて頂きます。
冒頭の記事、タイトルや出所が信頼できないので、まともに読んでもいませんが、「本当にそうかねえ」という気持ちでした。
ですが記事が出ているだけですと、将棋と接点の薄い場合「そうなのか」と思ってしまう方も少なくなさそうです。
貴記事を読んで、安心しました。
冷静で、説得力がある。
出来そうで、なかなか出来ないことと感心しながら読ませて頂きました。
書かれているように、ネットでのさらなる発信を期待したいです。
2015/10/23(金) 09:16:46 | URL | 赤い扇風機 #JalddpaA [ 編集 ]
昔から職団戦に出ている人が言うには、「だいぶ減った」ということですが、一人5,000弱もする参加料で綾瀬の武道館が一杯になるのですから、大した集客力だと思います。
2015/10/23(金) 12:21:26 | URL | こばんざめ #- [ 編集 ]
上位に食い込まないような棋士たちの収入がわかればもっと説得力が増すような気がするんだけどねえ
2015/10/24(土) 00:43:40 | URL | #- [ 編集 ]
新棋戦も始まったしな
モバイル関連の充実も考えれば寧ろ発展している印象。
Jcastさんもこういう煽り記事で身銭稼いでいるわけで、読者側が身構えて読む必要があるわけですね
2015/10/24(土) 02:17:28 | URL | #- [ 編集 ]
上位10人だけの推移を見て
「協賛金の激減で、棋士が食えなくなっているというのは、事実に当たらない」ってどう導いたんですか?
賞金が1000万超えてれば食えてるのは自明なんだから、全体もしくは下層を比較しないと意味が無いのでは。
データを出したように見せかけておいて、肝心の
「2015年は新棋戦の叡王戦も始まり、全体の棋士収入は増えるのではないか」の部分は
主観に留まってるよね。

レジャー白書の件も、「ネット回答は信頼性が低い」ってのはただの主観だし、
もしそうだったとしても、異なる年同士の比較では、その信頼性の低さについては
統計的にコントロールできてるわけだから、推移を見ることは可能だよね。

現実から目を背ける態度は全く建設的じゃないよね。
2015/10/24(土) 02:33:30 | URL | #gnx5oq1c [ 編集 ]
棋士が食えないなんて今に始まったことじゃなくそういう職業なのにわざわざそれを理由に不況と導き出されても
2015/10/24(土) 03:27:01 | URL |   #- [ 編集 ]
参考になる分析ありがとうございます。
協賛金が獲得賞金に入っているかが問題と思います。
2015/10/25(日) 07:01:53 | URL | #- [ 編集 ]
 プロ棋士になるような人は、特に A級棋士になるような人は、小学生になるかならないか くらいから将棋始めて 小学六年くらいで 小学生名人決勝戦でるような人で、将棋が好きで好きでたまらない 。お金は ついてくる程度にかんがえてるのでは。
 奨励会三段から 年に二人だけ お金を貰える四段になる。
 仕事 職務として 年に二人だけ就職出来る職場って めっちゃ 難しくないですか。
 しかも、年齢制限あり。
 好きでやってるので、収入は 別にいいじゃないですか。
 
2015/11/16(月) 20:15:46 | URL | #- [ 編集 ]
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